再生医療による認知症治療
脂肪組織由来幹細胞治療(ADSC治療)驚異の治療成績
- アルツハイマー型認知症
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14人のアルツハイマー型認知症患者に対して ADSC治療(自己の脂肪組織から採取した幹細胞を培養し、約1カ月毎に点滴投与する)を行い、全ての症例で認知機能評価(MoCA)が改善しました(下図参照)。特に、治療前の認知機能評価が中等度(MoCA9点以上)であれば、75%(9/12)の症例で認知機能が健常値近く、又は健常値を超える状態にまで上昇しました。
最新の薬物治療においても認知症の進行を遅らせることが精いっぱいであるのに対して、 ADSC治療では症状が回復し、さらの健常状態まで戻る症例もあったということは驚くべき結果であると考えます。
アルツハイマー型認知症の原因として、脳内のアミロイド蛋白の蓄積やタウ蛋白のリン酸化などが知られていますが、ADSCはアミロイド蛋白分解酵素であるネプリライシや、タウ蛋白のリン酸化阻止酵素であるリーリンを分泌している事がわかりました。私達は、これらが治療効果を 示すメカニズムの一つではないかと考えています。
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
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難病情報センターのホームページによれば、ALSは「進行性で、一度この病気にかかりますと 症状が軽くなるということはありません」とあります。原因不明で治療方法も確立していない難病です。
ADSC治療では、症状改善例が54%(7/13)であり、並行例は、23%(3/13)、悪化例は 23%(3/13)でありました。
ALSの原因として、脳内にTDP43蛋白が沈着することが知られていますが、私たちは、ADSCがこの蛋白を分解する酵素であるカスペース4を分泌することを発見しました。
- パーキンソン病(PD)
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9人の患者に ADSC治療を行い、症状改善例が89%(8/9)、非改善例が、11%(1/9)でありました。
パーキンソン病では、α-シヌクレインの沈着による神経細胞障害が、原因の一つと考えられていますが、ADSCはα-シヌクレインを分解する酵素であるG3BP1を分泌する事を見つけました。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
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10人の患者に ADSC治療を受け、80%(8/10)に改善例が見られた。
ADSCから、線維素分解酵素などが分泌され、肺の線維化が、改善されると考えられます。
- その他
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動脈硬化の改善や骨密度の改善も見られました。
※公益財団法人がん集学的治療研究財団の治療成績